大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和42年(ラ)183号 決定

抗告人 谷合大助(仮名)

相手方 谷合もと子(仮名)

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

抗告人は原決定を取消す、本件を東京家庭裁判所に差戻すとの裁判を求め、抗告理由を別紙のとおり申立てた。

審案するに、当裁判所は抗告人並に相手方の諸般の事情を斟酌したる上抗告人が相手方に対する婚姻費用の分担をすべき義務があるとしてその分担の方法を定めた原決定を相当であるとしてこれを認容するものであつて、本件記録を精査するも何等の違法の点は存しない。抗告人が主張する抗告人の実収入および相手方の収入について原裁判所が右認定の資料に徴していること(抗告人が住宅金融公庫に返済している割賦金、保険金及諸税等は控除している)は明白であつてこの点の違法はない。なお原決定が生活を異にする相手方の実父の経済的生活環境が抗告人に比し優位であること、および抗告人が現に同棲している女の生活費等を考慮しなかつたことはむしろ当然であつて抗告人のこの点の主張は何等理由がない。

よつて原決定は相当であり本件抗告は理由がないので家事審判法第一四条民事訴訟法第四一四条第三八四条によりこれを棄却し抗告費用の負担につき同法第八九条第九五条を適用し主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 毛利野富治郎 裁判官 加藤隆司 裁判官 矢ヶ崎武勝)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例